本多勝一氏が、若き日に朝日新聞の北海道支社にいたころに著した動物記。1961年に朝日新聞北海道版に連載され、はじめ角川新書として、増補されて実業之日本社から出版されたもの。本書は1969年の実業之日本社版の文庫化。 北海道各地を訪ねて取材したもので、各種の動物が取り上げられている。ヒグマ、モモンガ、オオワシ、トド、サケなど、カバーしている範囲はかなり広い。北海道犬にも触れられている。 自然誌的な本というよりは、面白いニュースや歴史、猟師への聞き書きなど、ジャーナリスティックな色合いの強い本。なかでもページを割いているのはヒグマについて。開拓期の悲劇は印象深い。 若き新聞記者による穴埋め的な仕事であり、のちの作品との関連性は低い。
著者が駆け出しの記者だった頃の、北海道時代の連載記事を一冊にまとめたもの。北海道の歴史から風物まで、動物を主役にしながら語っていくその語り口は、後年有名になってからのものと変わらぬ、平易かつ論理的で、取り上げたテーマも手伝って、親しみやすいものとなっている。あくまで主役は「動物たち」というところにも好感が持てる。
北海道の動物を知りたい人にはお勧めの一冊です。普通の図鑑やガイドブックに比べ実話がふんだんに盛りこまれています。だからとても理解しやすいし、動物と人間との係わり合い(例えば、人間に害を及ぼすとか、人間との関係がどう変わってきたかとか)を理解することができます。さらには、江戸時代後期からの北海道開発の歴史やアイヌ民族についても知ることができます。 筆者は「日本語の作文技術」という本を書いているだけあって、文章も非常に読みやすく理解しやすいです。簡単に読めますよ。 データが少し古い部分もありますが、新聞を読んだりニュースを見たりしていれば現状は把握できるはず。
きたきつね、エトピリカ、愛すべき彼等の世界を知ることができた美しい写真とともに、筆者の文体に、筆者の北海道という地への、強い愛情を感ずる。