近鉄という会社は、常に革新・拡大を図ろうとしてきた会社である。大阪・名古屋・伊勢の三地域相互間を結ぶ特急列車は、そのような体質を象徴している存在に見える。この本はいくつかの障害を乗越え、大阪から伊勢・名古屋へと路線網を延ばす近鉄前身の大阪電気軌道(大軌)・参宮急行電鉄(参急)・関西急行電鉄(関急電)の話から、戦後の復興、そして伊勢湾台風を乗越え名阪直通運転ができるようにし、難波に乗り入れるまでを記している。前編より生臭い話が多く載っているが、その裏にはそれぞれの夢があった・・・・ 昭和前中期の鉄道ロマンにかけた人間のドラマであり、日本屈指の大私鉄「近鉄」について少しでも興味のある人には、ぜひ読んでもらいたいと思う。
この本は「黒部の太陽」などの企業もの・プロジェクトもので名作を多く残した木本正次氏の著作である。後半では近鉄が昭和に入り大きく発展していく姿が絵が描かれている。近鉄といえば名阪特急の直通のために名古屋線の改軌に踏み切ったのは有名である。伊勢湾台風の被害をもろともせず改軌をなしえた企業素地がよく描写されている。近鉄では早くから「技術研究所」をおくなどあっといわせる電車やシステムを開発してきた。その企業素地がよくわかる一冊である。近鉄沿線にお住まいのことは是非一度購読されてはいかがだろうか。